「ツールを導入したのに、思ったほど改善しない」
「現場で使われなくなってしまった」
——そんな経験はありませんか?
ワークフロー改善に取り組んだものの、うまく定着しないケースは少なくありません。その多くは、ツールの問題ではなく、進め方や整理の段階でつまずいてしまうことも少なくありません。
本記事では、ワークフロー改善がつまづく理由を整理したうえで、スモールスタートで無理なく進める考え方と導入前に整えておきたいポイント、最初に取り組む業務の選び方を解説します。
ワークフロー改善がうまくいかない?ツールを入れても回らない理由
承認待ちを解消しようとワークフロー改善のためにツールを導入したものの、うまく定着しないことは少なくありません。
操作が難しい、入力が増えた、といった理由が挙がることもありますが、実際にはツール自体ではなく導入前の整理不足が原因になっているケースが多いのが実情です。
たとえば、
・今どこで止まっているのか分からない
・承認基準が人によって違う
・案件や業務に応じた運用ができていない
——こうした状態が残ったままでは、仕組みを置き換えても混乱は解消されません。
結果として差し戻しや確認が増え、「ワークフロー改善のはずが手間だけ増えた」という印象が残ってしまいます。
ワークフロー改善でつまづく理由|「いきなり全社利用」と「設計不足」
ワークフロー改善がうまくいかない背景には、いくつか共通したパターンがあります。中でも多くの現場で見れる原因が次の2つです。
理由① いきなり全社で利用しようとする
1つ目は、いきなり全社で利用しようとすることです。
一斉に展開すると、部門ごとの業務の違いや例外、これまでの運用ルールが一気に入り込み、承認フローや条件分岐が複雑になります。
その結果、どこで止まっているのか分かりにくくなり、申請者が個別に確認や催促を行う運用に戻りがちです。
結果として、「仕組みはあるのに回らない」状態を招いてしまいます。
理由② そもそもの設計が曖昧なまま始めている
2つ目は、承認フローや基準といった設計が曖昧なまま進めてしまうことです。
何を基準に判断するのかが整理されていないと、承認は人に依存し、「前は通ったのに今回は差し戻された」「どこを直せばいいか分からない」といった状況が生まれます。
そのままツールを導入しても中身は変わらず、操作だけが増えることで、結局は導入前と同じように差し戻しや確認が繰り返されることになります。
つまり、ワークフロー改善が止まる原因はツールそのものではなく、進め方と設計の前提にあります。これらを整理しないまま広げてしまうと、改善は定着しません。
だからこそ、最初から広げるのではなく、無理のない形で設計を整えながら進める必要があります。
では、実際にどのように進めればよいのでしょうか。
ここでは、有効な進め方の一つである「スモールスタート」について、詳しく見ていきます。
スモールスタートの勧め|「型」を作ってから広げる
こうしたワークフロー改善の失敗を避けるために有効なのが、スモールスタートという進め方です。
スモールスタートの目的は、単に早く導入することではありません。
無理のない形で設計が成り立つ「型」をつくることにあります。
対象業務を絞ることで、承認フローや承認基準、入力項目を現実的な粒度で整理でき、どの申請で手戻りが発生しやすいのか、どの承認ルートに無理があるのかを把握しやすくなります。実際に動かしてみることで、差し戻し理由や滞留ポイントも見えてくるため、「どこを直せば回りやすくなるのか」といった具体的な改善の方向性が明確になります。
一方で、この型ができないまま全社展開を進めてしまうと、例外対応が次々と増え、フローは徐々に複雑化していきます。その結果、例外対応のたびにルールが追加され、誰がどのように承認すべきか分かりにくい運用になってしまうことも少なくありません。
だからこそ、最初から広げるのではなく、実際の運用に合わせて見直せる余地を残しながら、小さく始めることが重要です。
ワークフロー改善の整理ポイント|「回るフロー」にするために押さえておきたい4つの観点
スモールスタートで「型」を作るためには、その前提となる整理が欠かせません。
特に意識しておきたいのが、ワークフローを成り立たせる以下の4つの観点です。
① 承認フロー
誰が、どの順で、何を確認するのかを明確にします。
単にルートを決めるだけでなく、滞留が発生した際に「今どこで止まっているのか」を把握できる状態を意識することがポイントです。
見えない状態のままでは、結局人が追いかける運用に戻ってしまいます。
② 承認基準
何をもって承認・差し戻しとするのか、判断観点を言語化します。
あわせて、差し戻し理由をある程度パターン化しておくことで、申請者・承認者双方の認識を揃えることができます。
属人化を減らすことで、申請内容のばらつきが抑えられ、処理スピードも安定していきます。
③ 入力項目
入力項目は「多ければ良い」わけではありません。
必須・任意を整理し、後工程で本当に必要な情報に絞ることが重要です。
情報が増えすぎると確認負担が大きくなり、結果として差し戻しや手戻りの原因になります。
“必要十分”のバランスを意識することがポイントです。
これらをあらかじめ整理しておくことで、シンプルで無理のないフロー設計が可能になります。
すべてを最初から作り込む必要はなく、まずは「回る状態」をつくることがスモールスタートのポイントです。
なお、代理承認や差し戻し時の扱いといった細かな運用ルールは、実際に運用を開始してから整理していくケースも少なくありません。
こうした例外的な動きをどこまで仕組みに取り込むかは、使うツールや設計の考え方によっても変わってきます。
対象業務の選び方と進め方
■ 業務の選び方|「シンプルに回せる」ものから
最初に選ぶ業務は、ルールが明確で例外が少なく、関係者が多すぎないものが適しています。承認フローをシンプルに設計しやすく、滞留や差し戻しの原因も把握しやすいため、改善の効果が見えやすくなります。
一方で、条件分岐が多い業務や承認者が多い業務は初手には向きません。案件ごとに承認ルートや判断基準が大きく変わる業務は、運用を整理する前にシステム化すると、かえって複雑なフローになりやすいためです。
■ 進め方|小さく回して調整する
進め方の基本は、「設計 → 試行 → 振り返り → 改善」です。
運用の中で、どこで止まるのか、差し戻しの原因は何かを確認し、承認基準や入力項目を見直していきます。
ポイントは、一度作って終わりにしないことです。スモールスタートでは、実態に合わせて継続的に修正していくことが前提になります。
そのため、後からフローや項目を見直しやすいツールを選んでおくことも重要です。kintoneのようなノーコード・ローコードツールはこうした調整がしやすく、「試して直す」を繰り返す今回の進め方と相性が良いと言えます。
■ 横展開|できた「型」を広げる
こうして“回る型”ができたら、次は他の業務へ横展開します。ゼロから作るのではなく、型をベースに調整していくことで、スピードと成功率が高まります。
また、承認履歴や差し戻し理由といった運用データは、そのまま次の設計に活かせます。こうした改善の積み重ねが、無理のないワークフローの定着につながっていきます。
どのタイミングでどこまで調整すべきかは判断に迷う部分でもあるため、進め方も含めて検討することが重要です。
kintoneを活用したワークフローシステムを構築。一部事務所での試行運用と改善を重ねながら展開し、利用規模2,000名超・年間約1,500時間の業務時間削減を見込む。
運用に沿った見直しができるツールを選ぶという視点
―kintoneで実現する改善の進め方
ここまで見てきたように、ワークフローがうまくいかない原因の多くは、いきなり大規模で進める、設計の整理不足等があげられます。
そのため、スモールスタートで設計を整えながら進めることが有効ですが、ここで次に課題になるのが「導入済みの仕組みをどう見直すか」です。
ツール自体はすでに導入済みで、フローや入力項目、承認基準がそのまま残っていると運用の中で課題が見えていても、修正ができないケースも見受けられます。今ある仕組みを前提に、「どこをどう直すか」を小さく切り出して見直していくことが重要です。
フロー・基準・入力項目を必要に応じて調整していくことで、少しずつ「承認が止まらない状態」に近づけていきます。
このときに無理に大きく作り直そうとせずスモールスタートと同様に、影響範囲を絞りながら修正を重ねていくことで、現場の負担も抑えながら改善を進めることができます。
また、こうした見直しを進めるうえでは、フローや項目を柔軟に変更しやすいかどうかも重要な視点です。kintoneのようなローコードツールは、後から調整を加えやすく、「試して直す」「現場に合わせる」といった進め方とも相性が良いと言えます。
どのタイミングでどこまで見直すべきかは判断に迷いやすい部分でもあるため、ツールの使い方だけでなく、進め方も含めて検討していくことが重要です。
運用に沿って見直せることが、定着への近道ーワークフロー改善まずはご相談をー
ワークフロー改善がうまくいかない背景には、
・いきなり全社で進めてしまい、例外対応や個別ルールが増えてしまうこと
・承認フローや判断基準を整理しないまま始めてしまうこと
の2点があります。
そのため、まずは原因を構造として捉え直し、整理したうえでスモールスタートから進めることが重要です。
小さく試しながら見直しを重ね、「回る型」をつくることで、無理なく改善につながります。
とはいえ、「どの業務から始めるべきか」「今の設計で問題ないのか」と判断に迷う場面も少なくありません。
当社では、ツール導入に限らず、業務整理や対象業務の選定、進め方の設計といった段階からご相談をお受けしています。
まずは自社の状況を整理するところからでも構いません。
ワークフロー改善についてお悩みがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ワークフロー改善でこのようなお悩みはありませんか?
- ワークフローを導入したが定着しない
- 承認ルートが複雑化している
- Excelや紙の運用から脱却したい
- どの業務から改善すべきか分からない
両備システムズでは、kintoneを活用したワークフロー構築・運用改善をご支援しています。



