近年、自然災害やシステム障害、サイバー攻撃など、企業活動を脅かすリスクが多様化しています。
こうした状況を受け、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の見直しや強化に取り組む企業が増えています。
特に、首都圏に本社や基幹システムを持つ企業では、災害発生時にも事業を継続できる体制を構築するため、
東日本とは別エリアにバックアップ環境や代替拠点を確保する動きが加速しています。
その中で注目されているのが、西日本のデータセンターを活用した東西分散です。
本記事では、BCPの基本的な考え方から、事業継続を支える拠点選定のポイント、そして西日本の候補地比較までを分かりやすく解説します。
BCPとは何か
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害やシステム障害、サイバー攻撃などの緊急事態が発生した際にも、企業が重要な事業を継続、
または早期に復旧するための計画です。近年、企業活動はITシステムへの依存度が高まっており、基幹システムや業務データが利用できなくなると、
顧客対応や受発注業務、物流、経理業務などに大きな影響が及びます。そのためBCPでは、「災害を防ぐこと」だけでなく、
「被害を受けても事業を止めないこと」「できるだけ早く復旧すること」が重要な考え方となります。
BCP対策には、非常時の対応手順の整備や代替オフィスの確保、従業員の安否確認体制の構築などさまざまな取り組みがあります。
その中でも、事業継続を支える重要な要素の一つがITインフラ対策です。例えば、本番環境とは別の場所にシステムやデータを保管し、
災害発生時に迅速な復旧を可能にするDR(Disaster Recovery:災害復旧)環境の整備は、BCPを実現するための代表的な施策として多くの企業で採用されています。
つまり、DRは目的ではなく、BCPを支えるための手段の一つといえます。
BCP対策における拠点選定の条件
BCP対策を実効性のあるものにするためには、システムやデータを保管する拠点の選定が重要です。 災害発生時に事業を継続し、迅速な復旧を実現するためには、単にバックアップ環境を用意するだけでは十分ではありません。 立地や災害リスク、通信環境、運用体制などを総合的に考慮する必要があります。
距離|適切な分散が重要
事業継続を目的とした拠点は、本番環境と十分な距離を確保することが重要です。
拠点同士が近すぎる場合、同じ地震や停電、通信障害の影響を受ける可能性があります。
一方で、距離が離れすぎると通信遅延や運用コストの増加につながる場合もあります。そのため、災害リスクを分散しながらも、
平常時の運用性や通信品質を確保できる立地が求められます。また、災害時には交通機関の停止などにより現地対応が制限される可能性があるため、
基本的には現地対応に依存しない運用体制を構築しておくことが重要です。そのうえで、万一の設備点検や復旧作業を見据えると、
新幹線や高速道路、空港など複数の交通手段が利用できるエリアであれば、
交通機関の一部が停止した場合でも代替ルートを選択しやすくなります。
災害リスクの分散だけでなく、緊急時の対応や復旧のしやすさまで考慮した拠点選定が、事業継続性の向上につながります。
災害リスク|同時被災を避ける
BCP対策において重要なのは、災害発生時でも事業継続に必要なシステムやデータを利用できる状態を維持することです。 そのためには、本番環境と代替環境が同時に被災しないよう、地震、水害、台風、停電など地域ごとのリスクを考慮した拠点選定が欠かせません。 近年では、首都直下地震や南海トラフ地震への備えとして、東西に拠点を分散する企業も増えています。
ネットワーク|事業継続を支える通信基盤
災害時に業務を継続するためには、システムだけでなく通信環境の確保も重要です。 平常時からデータを同期する場合はもちろん、障害発生時に代替環境へ切り替える際にも、安定したネットワークと十分な帯域が求められます。 また、複数回線の利用や冗長化構成への対応など、事業継続を支える通信基盤が整備されていることも重要な選定ポイントです。
運用体制|非常時に対応できる体制があるか
どれほど優れた設備を用意しても、非常時に適切な対応ができなければBCPは機能しません。 24時間365日の監視体制や障害発生時の対応フロー、保守運用の支援体制なども確認しておきたいポイントです。 特に自社だけで対応することが難しい場合は、運用支援の実績が豊富なデータセンター事業者を選ぶことで、 BCP対策の実効性を高めることができます。
なぜ東西分散が重要か
近年、多くの企業がBCP対策の一環として「東日本と西日本に拠点を分散する構成」を採用しています。
その理由は、事業継続に必要なシステムやデータ、運用体制を一地域に集中させるリスクを低減できるためです。
例えば、本番環境を首都圏に集約している場合、首都直下地震や大規模停電、広域通信障害などが発生すると、企業活動に大きな影響が及ぶ可能性があります。
そこで、バックアップ環境や代替運用拠点を西日本に配置することで、万が一の際にも事業継続や早期復旧を図りやすくなります。
また、東西分散は単に地理的な距離を確保するだけではありません。電力供給網や通信網、交通インフラなども分散できるため、
災害や障害による影響を局所化しやすくなります。
さらに、有事の際にはシステムの復旧だけでなく、人が現地で対応できる体制も重要です。
東西双方に拠点を持つことで、被災状況に応じて対応拠点を切り替えるなど、柔軟な運用が可能になります。
BCP対策の目的は、災害を完全に回避することではなく、想定外の事態が発生しても事業を継続できる状態を維持することです。
その観点から、東西分散は企業のレジリエンスを高める有効な選択肢として注目されています。
西日本DCの候補比較
BCP対策の一環として西日本に拠点を分散する場合、候補地として挙げられることが多いのが「大阪」「福岡」「岡山」です。 それぞれ立地やインフラ環境、アクセス性などに特徴があり、自社の事業特性や運用方針に応じて選定することが重要です。
大阪
大阪は西日本最大級のビジネス拠点であり、多くのデータセンターや通信事業者が集積しています。 ネットワーク接続性や関連サービスの選択肢が豊富である一方、都市機能が集中しているため、災害発生時の影響範囲やコスト面を考慮して検討する必要があります。
福岡
福岡は九州エリアの中心都市として発展を続けており、近年はデータセンターの立地先としても注目されています。 交通・通信インフラが充実しているほか、成長性の高いエリアである点が魅力です。一方で、首都圏からの距離が比較的長く、 緊急時の移動や現地対応の観点では検討が必要な場合もあります。
岡山
岡山は、西日本の中でもBCP対策の拠点として注目されているエリアの一つです。 首都圏・関西圏の双方からアクセスしやすく、交通インフラが充実していることに加え、比較的自然災害リスクが低い地域としても知られています。
拠点選定で重要なのは「バランス」
BCP対策の拠点選定では、単純な距離だけでなく、災害リスク、通信環境、アクセス性、運用性などを総合的に評価することが重要です。 そのため、「西日本だから安心」という考え方ではなく、自社が求める事業継続レベルや運用体制に適した立地を選ぶことが求められます。
BCP拠点として岡山が選ばれる理由
前章で紹介したように、西日本には複数のデータセンター候補があります。 その中でも岡山は、災害リスクの分散と運用性のバランスを重視する企業から、BCP拠点として選ばれています。 ここでは、岡山がBCP対策の拠点として注目される理由をご紹介します。
災害リスクを分散しやすい
岡山県は全国的に見ても降水量が少なく、「晴れの国」として知られています。 もちろん、絶対に災害が発生しない地域はありません。しかし、BCP対策ではリスクをゼロにするのではなく、事業への影響をできる限り低減することが重要です。 首都圏との東西分散を図りながら、比較的安定した環境を確保しやすい点は、岡山の大きな特徴といえます。
平常時も有事も運用しやすいアクセス環境
災害発生時には、システムの復旧や設備対応のために担当者が現地へ迅速に移動できることも重要です。 岡山は山陽新幹線をはじめ、高速道路網や空港が整備されており、複数の交通手段を確保しやすい立地です。 交通機関の一部に影響が発生した場合でも代替ルートを選択しやすく、有事の対応力向上につながります。 また、首都圏・関西圏の双方からアクセスしやすいため、平常時の保守や運用面でも利便性を確保できます。
東西分散と運用性を両立しやすい立地
BCP対策では、十分な距離による災害リスクの分散と、日常的な運用のしやすさを両立することが求められます。 岡山は東日本と西日本を結ぶ中間に位置し、東西分散に必要な距離を確保しながらも、運用負荷を抑えやすい立地です。 災害対策だけでなく、平常時のシステム運用まで見据えた拠点として適しています。
将来を見据えたインフラ環境
近年はクラウド利用の拡大やAI活用の進展に伴い、データセンターにはこれまで以上に安定した電力供給や通信インフラが求められています。 BCP対策においても、災害時だけでなく、中長期的に安定したシステム運用を継続できる環境を確保することが重要です。 岡山は都市部への過度な集中を避けながら、交通・通信・電力といった事業継続に必要なインフラをバランスよく備えており、 将来的なシステム拡張も見据えたBCP拠点として注目されています。
BCP対策を支える運用体制の重要性
BCP対策では、拠点や設備を用意することがゴールではありません。 災害や障害が発生した際に、システムやデータを迅速に復旧し、事業への影響を最小限に抑えられる体制を構築しておくことが重要です。 そのため、BCP拠点を選定する際には、立地や設備だけでなく、データセンター事業者の運用体制にも注目する必要があります。
非常時に対応できる体制を確保できる
災害やシステム障害は、時間や場所を選ばず発生します。 24時間365日の監視体制や障害対応体制が整備されたデータセンターを活用することで、異常の早期検知や迅速な対応が可能になります。 また、自社担当者がすぐに現地へ駆け付けられない場合でも、データセンター側で初動対応を行える体制があれば、事業への影響を抑えやすくなります。
自社運用の負荷を軽減できる
バックアップ環境や代替環境を維持するためには、設備管理や監視、障害対応、定期点検など継続的な運用が必要です。 これらをすべて自社で対応する場合、専門人材の確保や運用負荷の増加が課題となることがあります。 運用支援の実績が豊富なデータセンター事業者を活用することで、自社は本来注力すべき業務に集中しながら、安定した運用体制を確保できます。
BCP対策の実効性を高められる
どれほど優れたBCP計画を策定しても、実際に機能しなければ意味がありません。 障害対応手順の整備や運用訓練の支援、バックアップ運用の確認など、事業継続を支える運用面まで含めてサポートできる事業者を選ぶことで、 BCP対策の実効性を高めることができます。BCP対策において重要なのは、「設備を持つこと」ではなく、「有事の際に確実に活用できる状態を維持すること」です。 そのためには、信頼できる運用パートナーの存在が欠かせません。さらに、IT環境は継続的に変化するため、手順の漏れや更新漏れが生じていないかを確認し、 BCP対策の実効性を維持するためにも、年に1回程度、データセンター事業者と連携した模擬訓練を実施することが有効です。
BCP対策を実現するためのバックアップ環境の選択肢
BCP対策を実現するためには、バックアップ環境やDR環境をどこに構築するかも重要な検討ポイントです。 企業のシステム構成や求める復旧レベルによって、選択肢は大きく3つに分けられます。
コロケーションサービスを利用する
データセンター内に自社サーバーを設置するコロケーションサービスは、専用環境を維持しながら、高い可用性やセキュリティ、運用支援を利用できる点が特長です。 特に既存システムをそのまま活用したい場合や、クラウドへの全面移行が難しい場合には、有力な選択肢となります。 それぞれ導入コストや運用負荷、システム構成の自由度に違いがあるため、自社のBCP方針や運用体制に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
クラウドサービスを活用する
クラウドは初期投資を抑えやすく、短期間でバックアップ環境を構築できる点がメリットです。 一方で、利用するクラウドサービスによっては構成の自由度や性能、運用要件に制約がある場合もあり、自社システムとの適合性を確認することが重要です。
自社の別拠点を活用する
既存の拠点を活用できるため、自社の運用方針に合わせた環境を構築しやすい方法です。 ただし、設備投資や保守運用、人員の確保などを自社で担う必要があり、継続的な運用負荷が課題となることがあります。
まとめ|BCP対策の拠点選定は「事業継続できる環境」を総合的に考えることが重要
BCP対策では、災害発生時にも事業を継続し、早期に復旧できる体制を構築することが重要です。
そのためには、バックアップ環境を用意するだけでなく、「どこに構築するか」という拠点選定も重要なポイントとなります。
拠点を選ぶ際は、次のような観点を総合的に評価することが大切です。
- 本番環境と十分な距離を確保し、災害リスクを分散できること
- 安定したネットワークや電力など、事業継続を支えるインフラが整っていること
- 災害時の現地対応も見据えた交通アクセスや運用性を確保できること
- 24時間365日の監視や障害対応など、運用体制が充実していること
BCP対策を見据えたシステム基盤をご検討ください
BCP対策を実現する方法はさまざまですが、自社サーバーを活用しながら災害分散や安定した運用体制を確保したい企業にとっては、 コロケーションサービスも有力な選択肢の一つです。Ryobi-IDCのコロケーションサービスは、岡山という立地を活かした災害分散環境に加え、 24時間365日の運用監視体制を備えています。BCP対策を見据えたシステム基盤の構築や、西日本への拠点分散をご検討の企業様をサポートしています。 事業継続性の向上やBCP対策の強化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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