バース管理システム導入のメリットと物流コスト削減効果
物流施設でのバース管理にお悩みではありませんか?トラックの長時間待機、周辺道路の渋滞、繁忙期のスペース不足など、発荷主・着荷主の双方が頭を抱える問題は少なくありません。 本記事では、最新の画像認識技術を活用したバース管理システムの導入方法と、それによるコスト削減・業務効率化について詳しく解説します。国土交通省の規制強化にも対応できる具体的な方法をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
バース運用の課題
バース運用における最大の課題は、トラックの待機時間の長さと予測不能な到着時間によるスケジュール管理の難しさです。 バース(トラックバース)とは、物流施設や倉庫でトラックが荷物の積み降ろしを行うためのスペースのことです。このスペースの効率的な運用は、物流全体のスムーズな運営に重要ですが、いくつかの課題があります。以下に、主な課題とその原因を詳しく解説します。
待機時間の長さとその影響
国土交通省の調査によると、ドライバー平均荷待ち時間は1時間未満が41.4%、 1時間~2時間が32.1%、2時間越えが25.6%となっており、1時間超えは全体の58.6%に及びます。 トラックは一般道を利用して施設に到着する為、必ずしも予定通り到着できない事があり、これが荷役や配送スケジュールの遅延やドライバーの労働時間の増加につながります。 また、パレット積替えやバラ積み(複数の商品を一つずつ積み込む方法)など荷役作業が長引くことにより、荷待ち時間が長くなる傾向にあります。 車両の滞留時間が長くなる事で発荷主・着荷主双方に管理時間が増加し、荷主側の運用コスト増にも直結しています。
交通渋滞と近隣トラブル
繁忙期などバースの受入能力を超えるトラックが到着すると、敷地外での路上待機が発生し、周辺道路の渋滞を引き起こします。 特に都市部や住宅地に近い倉庫や工場では、近隣住民とのトラブルの原因にもなります。 トラックの路上待機や渋滞により、近隣住民の生活に悪影響を与えることがあります。 例えば、視界の悪化や騒音発生、通行の妨げ、交通事故を引き起こすリスクの増加が挙げられます。
繁忙期・閑散期の対応
物流量は年間を通し変動が少ないことが理想ですが、取り扱う商品によっては、繁忙期・閑散期で大きく物流量が変動します。 しかし、バースの数や配置は施設の物理的制約があり、簡単に増設できません。 そのため、繁忙期には許容量を超えてしまい、トラックのスムーズな入出庫が妨げられます。 これにより、作業効率が低下し、全体の物流プロセスに遅延が生じてしまいます。
| 課題項目 | 課題の詳細 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 待機時間の長さ(1運行あたり) |
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| 交通渋滞の発生による近隣への影響 |
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| 繁忙期・閑散期の対応 |
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2024年問題(改正労働基準法によるトラックドライバーの時間外労働規制)が注目され、環境負荷の低い船舶や鉄道へのモーダルシフトも進められていますが、物流量や輸送コスト、リードタイムなどの制約から、国内輸送の主役は依然としてトラック輸送です。 トラック輸送は、輸送手段の柔軟性と利便性だけでなく、物流量の変動や多様な貨物への対応力、コスト効率の観点から物流の主軸として選択されています。 しかし、トラック輸送は高速道路や一般道を利用する為、天候や渋滞・事故などの運用上の不確定要素があります。国土交通省やトラック協会はバース予約システムを推奨していますが、予約による荷役分散化だけでは、繁忙期の対応には不十分です。
従来のバース運用と新たなバース管理の比較
アナログ管理の限界点
多くの物流センターや工場では、バース管理が依然として電話やFAX、紙の伝票と人手による運用に頼っています。このアナログな管理方法には、以下のような限界があります。
- 情報共有の遅延:電話やFAXでの予約情報は関係者全員にリアルタイムで共有されない
- 急な変更への対応困難:予定変更があった場合、関係者全員への連絡に時間がかかる
- データ分析の難しさ:紙ベースの記録からは傾向分析や改善点の抽出が困難
- 人的ミスのリスク:手作業による予約管理は記入ミスや読み取りミスが発生しやすい
また、ドライバーを始め荷役作業者の労働力に依存しており、非効率な業務プロセスの見える化や洗い出しが難しい状況です。 結果として業務効率化の機会を逃し、隠れたコスト増加要因を抱えたまま運用を続けているケースが少なくありません。
デジタル管理がもたらす変革
新たなデジタル管理手法、特に画像認識技術を活用したバース管理システムは、従来のアナログ管理と比較して以下のような変革をもたらします。
- リアルタイム情報共有:バースの稼働状況をシステム上で一元管理し、関係者全員がリアルタイムで確認可能
- 自動データ収集:トラックの入退場時間や荷役時間を自動記録し、正確なデータを蓄積
- 分析に基づく改善:蓄積したデータから待機時間の改善点を特定し、効率化施策を提案
- 柔軟な対応力:予定変更があった場合もシステム上で即時に反映し、関係者に通知
デジタル管理への移行により、「見えなかった非効率」が可視化され、データに基づく改善が可能になります。 適切な管理システムの導入やスペースの最適化を通じて、バース運用の課題を解決できます。効率的なバース運用は、物流のスムーズな流れを実現し、ドライバーや倉庫スタッフの負担軽減にもつながります。 次項に具体的な解決方法について詳しく述べさせて頂きます。
バース運用の解決策
トラック輸送は優れた柔軟性や利便性、多様な貨物への対応力を持っていますが、一般道を利用する以上、様々な不確定要素を含んだ輸送手段です。 バース予約システム自体は有効ですが、予約という形で荷役の分散化をドライバーに依存するだけでは、不十分です。ここでは、バース予約システムを導入済みであることを前提に、さらに必要な解決策について解説します。
設置制約の少ないバース在車検知システムの検討
画像認識技術を採用したバース在車検知システムは、センサー型と異なり1台のIPカメラで複数バースを監視できるのが特徴です。 また屋外の繁忙期用臨時バースでも、IPカメラを設置する事で安価に在車検知(トラックがバースに停車しているかどうかを自動で検知すること)が可能になります。
トラックバースの回転率向上施策
通常、バース予約システムではトラックの到着遅れや荷役時間の超過などを加味する為、10分~15分程度のインターバルを設けています。荷役時間を平均30分とした場合、8時間稼働なら、1バースあたり10枠程度しか設定できず、繁忙期での対応が困難になります。 一方、物流ニーズの多様化に伴い、様々な車格のトラックが接車(バースに停車すること)するようになり、接車が集中するタイミングでは、物流センターであっても見通しが悪くなり、目視ではバースの稼働状況を把握する事が難しくなります。 また、工場などバースが点在する場合は、各バースの稼働状況がより把握しづらい状況に陥ります。 そこで、バースの稼働状況を自動検知し、空きバースが生じた際にはドライバーへ即時通知することでドライバーの待機時間を最小化できます。 バースの在車検知をリアルタイムに行いインターバルを最小化することで、一日あたりのバース枠を3~5枠増やすことが可能になります。
荷役業務全体の『見える化』効果
トラックの入場からバースへの誘導を自動化する入退場管理システムと連携する事で、入出庫作業全体を効率化できます。これにより、人的負担を軽減し、作業スピードを向上させることができます。 また、従来の紙と人手による運用では把握出来ていなかった業務プロセスを『見える化』することで、非効率の原因を特定し、運用面の改善が可能になります。
上記3つの対応により、トラック車両ごとの待機時間と荷役時間が把握できるようになるだけでなく、繁忙期の物流量増加にも対応できるようになります。
バースの稼働状況を定期的に分析することで問題点を特定し、改善策を講じることで荷役業務のボトルネックを解消できます。
バース運用の解決策と効果を表にまとめると、以下のようになります。
| 解決策 | 課題 | 解決策 |
|---|---|---|
| 設置制約の少ないバース在車検知システム |
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| トラックバースの回転率向上 |
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| 荷役業務全体の「見える化」 |
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まとめ
本記事では、物流施設におけるバース運用の主な課題として、トラックの待機時間の長さ、交通渋滞による近隣への影響、バースのスペース不足の3点を挙げ、その解決策として画像認識技術を活用した『リアルタイムのバース在車検知シシステム』と『バースの回転率向上』、『荷役業務の「見える化」』を提案しました。
昨年の国土交通省からの指針では『荷待ち・荷役等時間を3時間から2時間以内、2時間の場合は1時間以内』とすると示されていましたが、3月末に発表された経済産業省の補助要件では『荷主は1回の受渡しごとの荷待ち・荷役等時間について、原則として目標時間を1時間以内と設定しつつ、業界特性その他の事情によりやむを得ない場合を除き、2時間を超えないよう荷待ち・荷役等時間を短縮すること』と荷待ち・荷役時間の目標設定が1時間短縮をされています。
バース予約システムによる荷役・車両の分散化だけでは、対処が難しい状況です。荷役業務全体のシステム化を通じて『見える化』を図り、非効率な業務プロセスを解消することで、バース運用の効率が向上し、新物流効率化法に対応できる体制を整えられます。
バース管理でお悩みの方は、まずは自社のバース稼働状況を分析し、どの課題が最も深刻なのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
弊社では無料相談も実施していますので、お気軽にお問い合わせください。
R-LOGI for Truck Berth

両備システムズの「R-LOGI for Truck Berth バース入退場管理システム」は、物流現場の入出荷工程を非接触かつ効率的に運用するクラウドサービスです。 主な特徴は以下の3点です。
- 機能の選択性:パーツ化された各機能から必要なものを選択し、短期間で現場に適したシステム構築が可能です。
- 接車・離車の判定:IPカメラやセンサーを活用して、トラックの接車・離車を正確に判定します。
- ドライバー通知機能:ドライバーの携帯電話へSMSや音声で直接接車案内を送信し、場外チェックイン機能と組み合わせて場内環境を最大限に活用します。


