製造業のシステム導入を後押しする補助金 中小企業成長加速化補助金の申請ガイド

中小企業成長加速化補助金最大5億円を活用した
生産管理システム導入

大規模な投資を伴う生産管理システム導入を検討している中小製造業の皆さまへ
本記事では、補助金活用の判断基準と採択のポイントを整理します。

中小企業成長加速化補助金とは|売上高を1桁増やすための投資を支援する制度

1-1: 中小企業成長加速化補助金の事業概要

中小企業成長加速化補助金は、国内投資と賃上げによる経済の好循環を全国に広げることを目的に設けられた制度です。 地域経済に大きな影響を与える「売上高100億円企業」の創出を目指し、飛躍的な成長を目指す中小企業の大胆な投資を支援します。

事業概要は以下の通りです。

項目 内容
対象事業者 売上高100億円を目指す売上高10億円以上100億円未満の中小企業
製造業の場合、資本金3億円以下または従業員300人以下の企業が中小企業に該当
補助金額(補助率) 上限額5億円(補助率1/2)
事業期間 交付決定日から24ヶ月以内
申請要件 投資額が1億円以上(税抜)であること
・100億宣言ポータルサイトに「100億宣言」を公表していること
・1人あたり給与支給総額4.5%以上/年の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること。
対象経費 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費など

1-2: 【リスク】補助金の返還要件

中小企業成長加速化補助金には、事前に確認しておくべき返還要件が2つあります。

1つ目:基準年度の「給与支給総額」または「従業員1人当たり給与支給総額」が、公募申請時点の直近事業年度の同指標を下回った場合。

2つ目:基準年度から3事業年度後(最終年度)において、「給与支給総額」または「従業員1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率の目標を達成できなかった場合。 これらの返還要件は、補助事業終了後に確認されます。計画策定の段階から十分に検証しておくことが重要です。

(出典:中小企業成長加速化補助金(2次公募)公募要領(中小企業成長加速化補助金事務局)より作成))


データで見る中小企業成長加速化補助金の特徴|飛躍的な成長に向けた大胆な投資

2-1: 採択されるために知っておきたい現実①:採択者の投資額

中小企業成長加速化補助金の申請を検討されている方に、事前に知っておくべき重要なポイントがあります。 単に申請要件を満たしただけの事業計画では、採択の可能性は極めて低いと考えられます。 以下では、1次公募における申請全体および採択事業者の各種指標を確認します。

まず、投資額に着目します。申請要件では「投資額が1億円以上(税抜)」と定められており、理論上は投資額1億円の事業計画でも申請可能です。 しかし、採択者の売上高投資比率の中央値は44.0%です。 例えば、売上高10億円規模の企業であれば、約4.4億円規模の投資を伴う事業計画を策定していることになります。

(出典:中小企業成長加速化補助金2次公募概要資料(中小企業成長加速化補助金事務局))

2-2: 採択されるために知っておきたい現実②:採択者の1人あたり給与支給総額の増加率

次に、1人あたり給与支給総額の増加率を確認します。 申請要件では、1人あたり給与支給総額を**年率4.5%以上**引き上げることが求められています。そのため、毎年4.5%の賃上げを前提とした事業計画でも申請自体は可能です。

一方、採択者の1人あたり給与支給総額の増加率の中央値は**年率5.6%**となっています。 例えば、直近決算年度の1人あたり給与支給総額が480万円の場合、5年後には約630万円となり、5年間で約150万円増加する計画となります。

さらに、年率6〜7%の増加率で計画を策定した中小企業では、採択率が50%を超える結果も出ています。 ただし、1人あたり給与支給総額は補助金の返還要件にも含まれます。目標を達成できなかった場合は補助金の返還が求められる可能性があるため、慎重な計画設計が必要です。

(出典:中小企業成長加速化補助金2次公募概要資料(中小企業成長加速化補助金事務局))

2-3: 売上高50億円以上の中小企業は採択率が低い

 最後に、売上高規模について確認します。補助金の対象事業者は、売上高10億円以上100億円未満の中小企業と定められています。そのため、売上高10億円の企業も、90億円規模の企業も申請自体は可能です。
 一方で、採択事業者の売上高規模を確認すると、売上高50億円以上の中小企業の採択率は、全体採択率(16.3%)を下回っています。

 なお、売上高10億円以上20億円未満の中小企業が策定した事業計画が最も多く採択されています。

(出典:中小企業成長加速化補助金2次公募概要資料(中小企業成長加速化補助金事務局))

2-4: 結論:未来に大きな夢を描き、それを実行する覚悟があるか

上記を整理すると、

 ① 約4.4億円規模の設備投資を行い
 ② 1人当たり給与支給総額を年率6~7%で引き上げる事業計画を策定し
 ③ 売上高10億円以上20億円未満の中小企業

が、相対的に採択されやすい傾向にあります。
本制度は、飛躍的な成長を志向する中小企業による大胆な投資を後押しする仕組みであるといえます。

こうした企業が売上高を一桁引き上げる水準の成長を実現するためには、既存事業の延長線上の取り組みだけでは十分とはいえません。 外需の獲得やM&Aによる販路拡大、川上・川下への新規事業展開など、新市場の開拓を通じた成長戦略が求められます。
その実現にあたっては、新たな生産拠点の設立や生産ラインの導入といったハード面の設備投資に加え、売上高100億円規模の取引にも対応可能な販売・在庫・生産管理システムの導入など、ソフト面の基盤整備も重要となります。

持続的かつ大規模な成長を実現するためには、全社一丸となった取り組みと、明確な経営意思が不可欠です。

2-5: 生産管理システムの導入に中小企業成長加速化補助金を活用する場面

中小企業が生産管理システムの導入にあたり補助金を活用する場合、基本的には省力化補助金を選択したほうが良いです。 その理由は、生産管理システムは省人化・効率化を目的として導入されることが多く、売上高拡大を主旨とする中小企業成長加速化補助金とは目的が合わないためです。

一方で、売上高が1桁上がる規模の成長では、既存の生産管理システムで数倍の生産情報を管理することはほぼ不可能です。 機械の製造能力に限界があるように、システムの処理能力にも限界があり、遅かれ早かれ新たな生産管理システムの導入が必要になります。

そこで、補助事業にてハード面の設備投資と合わせて、将来を見据えた生産管理システムの導入を行うことは、有効な選択肢です。 投資額を増やすことで、場合によっては省力化補助金の上限額より多くの補助金を得られる可能性もあります。

また、補助事業にM&Aの実行を組み込む場合も、生産管理システムの導入は強く推奨されます。 自社とM&A先の企業が異なるシステムを使用していることが多く、システム統合が課題の1つとなるためです。

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中小企業成長加速化補助金を活用するための事前準備|100億宣言の公表

3-1: 100億宣言の概要

ここからは、中小企業成長加速化補助金を活用する手順をご説明します。 まずは、申請要件の1つである「100億宣言」を、100億宣言ポータルサイトに公表する手続きから始めます。

「100億宣言」とは、中小企業の皆さまが売上高100億円企業を目指すことを宣言し、その実現に向けた取り組みを公表する制度です。 宣言で公表される内容は、以下の通りです。

  • ① 企業概要
  • ② 企業理念・100億宣言に向けた経営者メッセージ(企業理念・ミッション)
  • ③ 売上高100億円実現の目標と課題(実現目標/課題)
  • ④ 売上高100億円実現に向けた具体的措置(目指す成長手段/実施体制)
  • ⑤ 企業グループの構成図 ※企業グループとして宣言する場合のみ

宣言した企業および取り組みは、100億企業成長ポータルの宣言企業一覧から確認できます。 (宣言企業一覧:https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/

3-2: 100億宣言の作成および申請

100億宣言には、中小企業成長加速化補助金の事業計画も含まれます。 そのため、100億宣言を作成する際は、補助金の事業計画を組み込んだ中長期計画を策定する必要があります。

具体的には以下の内容を盛り込みます。

  • たな市場の開拓や新商品の開発
  • ハード面・ソフト面の設備投資計画
  • 売上高100億円到達に向けた追加施策(生産拠点の設立、川上・川下企業のM&Aなど)

また、100億円企業成長ポータルの宣言企業一覧では、1次公募の採択者の100億宣言も確認でき、参考にすることが可能です。

100億宣言の作成が完了したら、補助金申請システム「jGrants」にGビズIDでログインして申請手続きを行います。 ポータルサイトへの公表には通常2~3週間かかるため、中小企業成長加速化補助金の活用を決めたら早めに着手しましょう。

※中小企業成長加速化補助金の事業計画の対象期間は、決算年度や補助事業の実施期間によって変動します。


中小企業成長加速化補助金で採択されるためのポイント|野心的な目標を掲げる

4-1: 野心的な目標を掲げる

100億宣言の申請が完了したら、次に中小企業成長加速化補助金に申請する事業計画書を作成します。 当補助金の1次公募採択率は16.3%と低く、他の補助金とは異なり、単に審査項目や加点項目の評価点を積み上げるだけでは採択されにくい点に注意が必要です。

採択されるためのポイントは、大きく2つあります。

1つ目:売上高100億円企業を目指す野心的な目標を掲げることです。 具体的には以下の項目が該当します。

  • 高い売上高成長率
  • 高い付加価値増加率
  • 高い売上高投資比率
  • 高い給与増加率

新たな市場への参入や投資の必要性を根拠とともに示し、創出した利益を従業員の賃上げに還元するなど、全体を通じて野心的な目標設定が求められます。

ただし、給与増加率は補助金返還要件にも関連しています。 野心的な目標で採択されても、その目標を達成できなかった場合には補助金の返還が必要になるため、計画策定時には慎重な検討が必要です。

4-2: 経営者の熱意

もう1つのポイントは、経営者の熱意です。 事業計画には、経営者の考えや経験則が反映されていることが重要です。

具体的には、以下のような取り組みが評価されます。

  • 産学官連携による事業推進
  • 先行投資の実施
  • 事業可能性調査やテストマーケティング

これらは、補助事業に先んじて実施されていることが望ましいです。

特に産学官連携は、中小企業単独で売上高を1桁上げることが難しいこと、 一朝一夕で構築できるものではないこと、さらに採択者の多くが100億宣言にて民間企業、大学、政府系機関などと連携している点から、 経営者の熱意の現れとして一定の評価を得やすい取り組みと考えられます。

4-3: 補助金申請支援の専門家を活用

中小企業成長加速化補助金の申請にあたっては、採択実績のある補助金申請支援の専門家の活用を強くオススメします。 その理由は主に以下の通りです。

  • 他の補助金と比べて申請書類の難易度が高いこと
  • 連携企業の一員として参画させることで補助事業の実現可能性が高まること
  • 専門家の経営者ネットワークを活かし、各種専門家と連携できる可能性があること

ただし、経営者ご自身の考えが申請書類に反映されていることを必ず確認してください。 専門家に任せすぎると、審査員に経営者の意図が伝わらず、書類審査通過後のプレゼンテーション審査で困難が生じる場合があります。 プレゼン審査では、経営者自身の言葉で補助事業の説明や審査員からの質問への回答を行う必要があります。

中小企業成長加速化補助金の申請方法|4つのステップで解説

5-1: 100億宣言と申請要件の確認

ここからは、中小企業成長加速化補助金を活用する企業が、申請手続きから採択、補助事業開始までの流れを、4つのステップに分けて解説します。

まずは、事前準備として100億宣言の公表手続きを行うことが必要です。 補助金の公募期間は開始日から締切日まで約2ヶ月ですが、事業計画との整合性を確認しながら100億宣言を作成・申請するため、着手から公表までに1ヶ月程度かかります。 申請書類に不備がある場合はさらに時間がかかるため、できるだけ早めに手続きを行いましょう。

補助金の公募が始まったら、公募要領を読み込み、申請要件を再確認します。 公募回によって申請要件が変更される場合があり、要件を満たさない場合は審査されず不採択となる可能性があるからです。

5-2: 申請書類の準備・作成・申請

申請要件を満たしていることを確認したら、事業計画書の作成および申請書類一式の準備を行い、申請作業を進めます。

中小企業成長加速化補助金の事業計画書作成は、補助金申請が初めての方だと約1ヶ月かかります。 具体的には、パワーポイント35~40ページの書類作成に加え、プレゼンテーション審査用の簡易デザイン(図表や文言のわかりやすさ)、数値計画の整合性確認なども必要です。 日常業務と並行して準備を進めるため、余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。

また、本補助金の審査項目には金融機関のコミットメントが含まれています。 そのため、金融機関との連携は必須で、確認書の提出が求められます。 確認書は発行依頼から受領まで約1週間かかるため、スケジュールにあらかじめ組み込む必要があります。 なお、申請作業自体は1日あれば完了します。

5-3: 書面審査・プレゼンテーション審査・交付候補者決定

申請手続き完了後、書面審査(1次審査)の結果発表までに約1ヶ月かかります。 その間、申請内容や添付書類に不備がある場合は差し戻しが行われます。 原則としてメールで連絡があり、対応期限は1週間以内(場合によっては1~3日)と短く、対応しない場合は不採択となります。 メールの見落としには十分注意してください。

書面審査を通過した事業者は、結果発表から1ヶ月前後でプレゼンテーション審査(2次審査)に臨みます。 経営者の出席・説明が必須であり、出席できない場合は審査上不利になることがありますので、必ず予定を確保してください。

プレゼンテーション審査の結果、約1ヶ月後に補助金交付候補者が決定します。

5-4: 交付申請・決定

補助金交付候補者として採択された企業は、まず各種投資の相見積書を取得します。 その後、交付申請書を作成し、2か月以内に補助金事務局へ申請手続きを行います。 書類不備による差し戻しがなければ、交付申請から約1ヶ月で交付決定通知書が発行され、補助事業に着手できるようになります。

まとめ

中小企業成長加速化補助金は、大規模な生産管理システムの導入において、選択肢の一つとなる制度です。 本記事の要点をまとめると次のとおりです。

  • 中小企業成長加速化補助金は、飛躍的な成長を目指す中小企業の大胆な投資を支援する制度であり、生産管理システムはその成長を支える重要な投資の一部です。
  • 申請には100億宣言の公表が必要です。金融機関や他の企業・機関と連携して準備・実施することが推奨されます。
  • 採択されるためのポイントは、野心的な目標を掲げることと、経営者自身の熱意を事業計画に反映させることです。

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