「国家公務員制度ナレッジベース」の構築で
制度照会対応業務の改善を推進
国家公務員制度ナレッジベース 導入事例

人事院 様

国家公務員制度ナレッジベースの構築により、業務の効率化を目指す

人事院では、各府省からの人事制度に関する問い合わせを受け、法令に基づいた回答を行っている。これまでは照会から回答までの記録は、担当職員ごとに紙媒体や様式が未統一のデータとして保存され、ナレッジの迅速な共有や活用が困難となっていた。そこで人事院は、両備システムズの支援のもと、「Salesforce Service Cloud」をプラットフォームに採用し、照会内容を記録、蓄積、共有する「国家公務員制度ナレッジベース」を構築。制度照会対応業務の改善を図った。

人事院 様

  • 国家公務員の採用や働き方、給与などの人事制度を担当する中立的な第三者・専門機関。「公務員を元気に 国民を幸せに」をミッションとして、人事行政の公正性が確保されるよう採用試験、任免の基準設定、研修などの実施、給与等の勤務条件の改定を国会や内閣に勧告するほか、内外の人事制度の調査研究によって、時代に合った人事施策を展開しています。

国家公務員制度ナレッジベースの概要

「国家公務員制度ナレッジベース」は、国家公務員の人事制度に関する照会を一元的に受け付けています。照会受付から回答までのやりとり等をデジタルデータとして蓄積することにより、照会業務の効率化や、照会対応の迅速化を図るとともに、ナレッジの共有やデータ分析を実現するために構築されたクラウドベースのシステムです。

国家公務員制度ナレッジベースの構築から導入まで

人事院が求める要件に対応し、両備システムズは詳細なヒアリングを実施。これまでの官公庁における数々のシステム導入で培った知見、およびSalesforceを活用したシステム構築のノウハウを生かしつつ、プロトタイプの構築に取り組みました。さらに人事院の制度担当者を交えた確認作業を行うことでプロトタイプの改良に継続的に取り組み、「国家公務員制度ナレッジベース」の本格導入を実現しています。

人事院様インタビュー

制度照会対応業務の効率化に向け
ナレッジを蓄積・共有できるシステムを構築

人事院は、国家公務員の採用や働き方、給与などのさまざまな人事制度を担当する行政機関です。その業務の1つに、給与や人事に関わる制度について、府省などからの問い合わせを受けるとともに回答を行う「制度照会対応業務」があります。制度照会の内容は、比較的容易に回答できるものから、過去の事例にさかのぼって確認する、あるいは部内で回答を検討し上司による承認が必要なものまで数多くあります。照会内容や回答記録の様式は統一できておらず、担当者や部署別に紙媒体としてファイリングしたり、電子媒体に記録して保存していたりするなど、個別最適化されていました。また、情報の共有化が進んでおらず、照会から回答するまで手間と時間を要していました。一部の部署ではExcelやAccessなどで照会内容や回答を記録、蓄積して共有化するといった取り組みも行っていました。しかし、そのシステムに習熟する担当者が異動した場合、ノウハウが継承されず、システムのメンテナンスができなくなるケースもありました。このような状況を改善するため、担当者の業務効率化と対応の迅速化を目指して、制度照会対応業務の標準化と、照会や回答に関するナレッジを蓄積、さらに「よくある質問(FAQ)」として参照できる仕組みづくりに着手しました。

人事院事務総局
政策立案参事官
宮川 豊治 氏

Salesforce Service Cloud を基盤に
「国家公務員制度ナレッジベース」を構築

2021年から、制度照会対応業務を高度化する「国家公務員制度ナレッジベース」の構築プロジェクトがスタートします。システム化により期待される効果として、「人事院が所管する制度に対する照会において、各府省の人事担当者等も含めた関係者の業務の合理化・迅速化」「人事院内各課の政策の企画立案にかける時間の十分な確保」「制度照会データの集約による関係者との制度照会内容等の共有」「集約されたデータから得られる制度照会の傾向などから、照会対象である制度そのものに対するインサイト(気づき)の獲得」の4つを掲げて、人事院内の制度照会対応業務におけるプロセスの標準化を行いました。
システム構築にあたっては、まず「クラウド・バイ・デフォルト原則」に則り、既存のSaaSサービスをカスタマイズして活用することとしました。備えるべき機能として、照会の受付のほか、システム上で上司の確認ができる承認ルートの設定、回答時のメール送信、データ集計や担当者別に参照できる情報を制限する権限設定などを決めました。こうした要件に基づいて、人事院は総合評価による調達を実施します。その結果、「Salesforce Service Cloud」をプラットフォームに採用し、構築パートナーとして両備システムズを選定しました。国家公務員制度ナレッジベースの構築は2022年11月から開始、翌2023年1月から3月までのテスト検証を経て、2023年11月から各府省(本府省)を対象とした本格運用を開始しました。さらに2024年4月からは人事院の地方事務局等、および各府省の地方機関等においても稼働を開始する計画です。

人事院事務総局職員福祉局
職員福祉課 総務班 課長補佐
玉那覇 敦 氏

制度照会対応業務の効率化を推進
蓄積されたデータの分析も視野に

国家公務員制度ナレッジベースの運用が始まり、各府省の人事担当者は、人事制度に関するFAQを、キーワード検索やよく参照されるFAQランキング、人事制度の一覧から参照することができるようになりました。さらに、同じ府省等に所属する他の人事担当者が以前に照会した内容・回答も閲覧できます。解決策が見つからない場合は、照会フォームに照会内容と対象制度等を入力・選択して送信すると、人事院の担当局課に自動で照会が届けられます。これまで人事院の職員が行っていた照会の受付業務は、国家公務員制度ナレッジベースにより自動化され瞬時に行えるようになりました。照会の受付から回答案作成、承認までの進捗状況が可視化され、人事院の中だけでなく、府省に対しても進捗を共有できるようになりました。また、人事制度に関する照会が電話を使わずに行えるようになり、テレワークなど柔軟な働き方への支援につながったと考えています。一方、人事院では制度照会対応業務の進め方を統一したことで、異動のためこれまでと異なる制度を担当することとなった者も、すぐに制度照会対応業務に携わることが可能になったなどの効果がみられています。今後は、照会に関するデータが集約されることで情報検索の効率性が向上し、回答までの所要時間が短縮することに加えて、各府省の人事担当者が、FAQや過去の照会事例等を参照して自己解決できる事柄が増えることにより、各府省と人事院それぞれ、より付加価値の高い業務に費やす時間を生み出せるようになると期待しています。

人事院事務総局
政策立案参事官補佐
下野 剛史 氏

国家公務員の働きやすい環境づくりと
よりよい行政サービスの提供を目指す

各府省から寄せられる照会の内容、照会された時期、照会の対象となった制度、その照会に対する人事院の対応等のデータを、国家公務員制度ナレッジベースに記録・蓄積できるようになりました。仮に、ある制度に関する照会が多く寄せられ、適用すべき規則・通知等を回答して対応したというケースが多かった場合は、その制度の周知や説明の仕方に課題が潜んでいる可能性があります。このように、照会データには、各府省の人事担当者や国家公務員の「隠れた本音」が含まれているのではないかと考えています。照会データを国家公務員制度ナレッジベースに集約し分析することで、次に打つべき施策の根拠となる新たなインサイトを得ていきたいと思います。今後、照会の頻度等を踏まえたFAQの拡充や機能の追加などを通して、国家公務員制度ナレッジベースの利用を促し、業務の効率化等の効果をさらに引き出していくとともに、人事制度に関するニーズを的確に把握し、国家公務員がより働きやすい環境をつくり、よりよい行政サービスを国民に提供することを目指していきます。

人事院事務総局
政策立案情報専門官
鬼原 早苗 氏

※所属部署・役職など、記事内に記載の内容は、2024年2月時点のものです。

両備システムズの担当者から

数々の官公庁におけるシステム構築の経験と、
Salesforceに関する知見を最大限に活かす

「国家公務員制度ナレッジベース」の構築を担った両備システムズは、人事院が求める要件を実現できるよう以下の点に重点を置いて取り組んでいます。「はじめに組織体制について、両備システムズ社内から、さまざまな官公庁のシステム構築プロジェクトに携わった専任の担当者をアサインし、伴走支援を行えるようにしました。また、プロジェクト開始後も定例ミーティングを実施し、詳細なヒアリングを行ったり、課題を洗い出したりするなど、密な連携を心がけました。実際の構築については、プロトタイプを用意し、その都度各部門担当者に確認いただき、機能要件に齟齬がないかを留意しながら、要望に応じて修正・改修を行っていきました。数多くの官公庁、公共系のプロジェクトを手がけてきた経験・知見を活かし、業務部門の担当者が日々、どのようにして業務を遂行されているのか、常に想像しながら、最適な提案や設計、開発を心がけました」(岡村)

株式会社両備システムズ
クラウドビジネスカンパニー
インテグレーション事業部 ソリューションビジネス部
Salesforceグループ グループ長
岡村 尚紀

また、「Salesforce Service Cloud」のプラットフォームをベースとしたシステム設計・構築についても尽力しました。「これまでも両備システムズはSalesforceを活用したシステム構築を数多く対応してきました。そこで培った技術力を最大限に生かし、設計・構築に臨みました。特に念頭に置いたのが、コールセンター機能をはじめ、Salesforce Service Cloudが持つ標準機能の活用・組み合わせにより、最適なシステムを構築することでした。これにより、構築コストを抑制するとともに開発期間を短縮化できるよう努めました」(有坂)

株式会社両備システムズ
クラウドビジネスカンパニー
インテグレーション事業部 ソリューションビジネス部
Salesforceグループ
有坂 尚宣

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