情報連携を強化しすべての聴覚障害児を早期発見、療育支援へ「新生児・小児聴覚検査精度管理システム」導入事例

広島県 様

新生児・小児聴覚検査の受診状況をクラウドに集約 県全域で情報共有し、早期に適切なフォローを実施

広島県では、県内市町と連携し生まれて間もない新生児の「耳のきこえ」を検査する、「新生児聴覚スクリーニング検査」の普及に継続的に取り組んできた。しかし、検査の実施に関わっている市町、産科医療機関、耳鼻科医療機関、療育・教育機関の連携体制が整備されておらず、要精密検査となった新生児の受診状況や、難聴と診断された新生児や小児が療育・教育機関につながったかなど、把握しきれていないことが課題となっていた。そこで広島県は、両備システムズが提供する多職種情報共有システム「ケアキャビネット」を導入。各関係機関1で検査結果の情報を共有しながら迅速に状況を把握し、その後のフォローアップにつなげるための体制を強化した。

  1. 1) 産科医療機関、精密検査機関(耳鼻科)、市町、療育・教育機関、広島県新生児・小児聴覚検査フォローアップセンター

広島県 様

  • 『すべての子供たちが、成育環境の違いに関わらず、健やかに夢を育むことのできる社会の実現』を目指し、「ひろしま子供の未来応援プラン」を策定した広島県。子供未来応援課では、結婚から妊娠、出産、子育てまで、切れ目ないサポートを提供することで、県民のニーズに寄り添いながら、それぞれのライフステージに応じた多様な支援事業を推進している。

対象製品

ケアキャビネット

ケアキャビネットは、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した安全な環境で、多職種連携が行えるクラウド型の情報共有システムです。写真や動画、電子書類の共有により、即時性・同時性を兼ね備え、さまざまな職種にわたって情報共有を実現し、個々の状況や変化に応じた対応を支援しています。

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導入前の課題と効果

  • 行政・医療・療育機関における
    円滑な情報連携が必要

    精密検査の受診状況や結果など、各関係機関1で円滑な情報の連携が十分でなく、検査の受診状況、結果の把握が困難だった。

    行政・医療・療育機関でのスムーズな情報連携の実現

    クラウド型の情報共有基盤の構築により、各関係機関1が容易に精密検査に関する情報を参照できる体制が実現できた。

  • 検査結果の共有やフォローに関する
    負担が増大

    従来の書面と人手による情報共有やフォローに多くの負担を要していたほか、連絡漏れや遅延が発生するケースがあった。

    情報連携に関する作業負担を抑制

    書面や手作業をベースとした情報共有から、データを活用した情報連携の仕組みに移行、フォローなどに関する人的負担を抑制できた。

  • プライバシーに配慮した
    個人情報の保護が必須

    情報共有システムの構築にあたり、プライバシー保護の観点から閲覧制御や情報漏えいを防ぐ仕組みが求められていた。

    個人情報を厳格に管理できる仕組みの実現

    情報の参照に際して役務に応じた柔軟な閲覧権限の設定により、プライバシーに配慮した個人情報の保護を実現した。

広島県様インタビュー

クラウドを活用して検査情報を速やかに共有

広島県では、すべての聴覚障害児を早期に発見し、療育支援につなげられるよう、新生児・小児聴覚検査の体制の拡充に努めてきました。具体的には、聴覚検査の状況を総合的に把握・調整する「新生児・小児聴覚検査フォローアップセンター」の開設、また、紙ベースによる情報連携の限界から、県や市町、各医療機関、教育・療育機関がリアルタイムで情報共有できるシステムの構築を行いました。システムは、両備システムズが提供する多職種連携が行える情報共有システム「ケアキャビネット」を2022年10月に選定し、構築期間を経て2023年4月に運用開始しました。ケアキャビネットを選定した理由は、クラウドを利用して簡単かつ速やかに情報共有ができることです。また、両備システムズが提供する母子保健における業務のDXを支援する「ネウボラかるて」が、すでに広島県内の複数の市町で活用されていたことや、自治体や医療機関、官公庁におけるこれまでの同社の導入実績、そして、提案を通じて感じられた「きめ細かいサポート」が運用開始後も期待できることも、両備システムズを採用した大きな理由の1つです。

広島県 健康福祉局 子供未来応援課
プラン推進グループ
主査・保健師 小田 純子 氏

要望を取り入れながら使いやすいシステムを構築

設計や構築にあたっては両備システムズと何度も打ち合わせを重ね、こちらの要望に応じて項目の設定から画面の構成まで、その都度開発していただいたものを確認しながら、理想のシステムに近づけていきました。例えば、新規にデータ登録されたお子様には「New」マークが表示されるようにする、あるいは居住している市町村名もすぐ参照できるように、お子様の名前の傍に表示してもらえるようにしたりするなど、両備システムズはきめ細かな対応をしてくれました。

広島県 健康福祉局 子供未来応援課
プラン推進グループ
技師・保健師 吉村 愛実 氏

フォローアップセンター センター長インタビュー

フォローアップセンターの設置で、横断的な聴覚検査状況の把握が可能に

新生児・小児聴覚検査フォローアップセンターは、2023年に広島市の県立広島病院内に設置されました。これまでは、精密検査が必要になる、あるいは難聴と診断されるお子様に対して、医療機関からの紹介状のみで受診を勧めていたため、受診状況を把握しきれないリスクがありました。今回、ケアキャビネットの導入では、精密検査が必要なお子様を誰一人見逃さずにフォローすることを方針に掲げて取り組んできました。システム化においては、個人情報を厳格に保護しながら持続的可能な仕組みを構築するため、クラウドを活用してデータベース化しています。そして、産科や耳鼻咽喉科などの各関係機関の情報入力に手間がかからないような方法を取り入れる一方で、フォローアップセンターからも即時に情報が把握できるようにしています。

広島県 新生児・小児聴覚検査フォローアップセンター センター長
(県立広島病院 小児感覚器科主任部長・医師)
益田 慎 氏

ケアキャビネットを活用し、迅速なケア実現に向けた取り組みを強化

ケアキャビネットを通じて、フォローアップセンターでは迅速なケアに向けて取り組みが進められています。ケアキャビネットは、新規に登録された新生児の情報が画面にリスト表示されるほか、精密検査の受診状況も分かるようになり、検査結果の把握・共有から、未検査の場合には診断の勧奨、そして療育・教育機関の紹介といったフォローまでできる仕組みが実現できました。今後の課題は、新生児聴覚スクリーニング検査時には「聞こえに問題がない」と診断されたものの、後発性難聴などが原因で生後1年以後、数年経ってから症状が現れるケースにどう対応していくかということです。
今後も新生児・小児聴覚検査精度管理システムを活用し、とにかく早く難聴の疑いのある新生児・小児を見つけ、迅速なケアが行えるような体制を実現していきたいと考えています。

広島県の「新生児・小児聴覚検査精度管理システム」について

新生児・小児聴覚検査フォローアップセンターの設置

広島県新生児・小児聴覚検査フォローアップセンターは、2023年4月、県立広島病院小児感覚器科に開設されました。聴覚検査精度管理システムを活用した関係機関に対するフォローアップや、新生児聴覚検査にかかる保護者向けの普及・啓発、市町担当者向けの資質向上研修などを企画・実施する役割を担っています。

広島県が導入した「ケアキャビネット」とは

ケアキャビネットは、精密聴力検査の対象となる新生児・小児の情報を一元管理することで、関係機関において迅速に情報共有を行い、早期支援につなげています。一定期間経過しても、二次検査または精密検査を受診したことが登録されていない場合や、療育、教育が開始されたことが登録されていない場合など、情報を抽出することで未検査児を取りこぼさないための仕組みを提供します。

【ケアキャビネット新生児情報登録画面・データ分析画面】

専用の入力画面によって、要精密検査児にかかる基本情報(氏名、生年月日、母子健康手帳番号等)や検査実施機関ごとの検査結果・方針、 療育・教育開始年月日 、 紹介先医療機関名などの情報入力や参照ができます。

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